聖母坂どうぶつ病院コラム
治療・予防

コラム 健康診断②血液検査

当院では、ワンちゃん、ネコちゃんに、年一回~二回の健康診断をおすすめしています。
ヒトと同じように定期的に検査をすることで、一見健康にみえるどうぶつたちの異常が見えてくることがあります。
健康診断の目的は、『早期発見』『早期介入』、つまり病気が症状として明らかになってくるよりも前にその兆しを見つけ、今後問題となりそうな部分について早い段階から目をつけておく、場合によってはその原因を追及して治療につなげていくことにあります。

健康診断における基本的な検査には、日常的に行っている身体検査以外にも、以下のものがあります。

  • 血液検査
  • X線(レントゲン)検査(胸部、腹部)
  • 超音波(エコー)検査(心臓、腹部)
  • 尿検査
  • その他の特殊な検査

今回は健康診断の項目の1つである、血液検査について少しお話させていただきます。

血液検査は、ヒトの健康診断でももちろん通常含まれていますし、健康診断以外でもよく行われる検査の一つです。
しかし、血液を見ただけでなぜ内臓の病気がわかるのかは、普段あまり意識されないところかもしれません。

血液検査では実際に何を測定しているのかというと、これは大きく二つに分けられます。

  1. 血液中の細胞成分の数や種類
  2. 血液中の液体成分に含まれる物質(酵素、栄養素、老廃物)

血液の細胞成分とは、酸素を運ぶ赤血球や、感染症や炎症といった免疫に関与する白血球、出血を止めるのに必要な血小板を指します。
この数や種類の変化によって、貧血、炎症、出血を生じるような病気が反映されるわけです。
さらに細かいパラメータを見ることで、どのようなタイプの貧血なのか、どのような炎症のパターンなのかについても大まかに知ることができます。

一方、血液の液体成分に含まれる酵素、栄養素、老廃物を測定すると、かなりおおざっぱに書いてしまいますが、肝臓・腎臓・栄養(タンパク質、脂質、糖質、ミネラル)の状態が分かります。
これによって、外からは見えない内臓の状態を調べるのです。

しかし、生き物の体には肝臓や腎臓以外にも、たくさんの部分がありますよね?
肺、心臓、脳、胃腸はもちろん、脾臓や膵臓、膀胱といった臓器もありますし、骨、筋肉、脂肪もれっきとした体の構成要素です。
実は血液検査は、こういった臓器の変化を調べるのがちょっと苦手なのです。
そこで、こうした肝臓や腎臓以外の臓器の変化を見つけるために、血液検査以外のX線(レントゲン)、超音波(エコー)、尿検査の出番となるわけです。

これらの検査については、次回以降書かせていただきます。

下落合、目白、椎名町エリアのイヌとネコの動物病院
聖母坂どうぶつ病院 院長 田草川