こんにちは。少しずつ春が近づいてきましたね。
動物病院で春といえば様々な予防が始まるシーズンでもあります。
今回は予防に関連し、ワンちゃんを飼われている方にはおなじみの「狂犬病予防接種」についてお話させていただこうと思います。
まずは病気そのものについて少しだけ。
「狂犬病」という名前から、「犬だけ」の病気と思われがちですがそんなことはありません。
私たち人間を含むほぼ全ての哺乳類が感染し、発症すると致死率はほぼ100%という大変恐ろしい感染症です。
この恐ろしい病気からワンちゃん、そして飼い主さんを守るために日本では狂犬病予防法という法律に基づいて予防接種が義務付けられるようになりました。
その成果もあり、日本国内では、昭和32年以降日本での狂犬病の発生は報告されていません。
みなさん、お気づきになりましたか?
下線を引かせて頂きましたが、発生をしていないのはあくまで日本国内でのお話です。
「もう狂犬病は無い病気だからワクチンは打たなくても良いですか?」という質問をよく受けることがありますが、狂犬病は決して無くなった病気ではありません!
日本では長い間狂犬病の発生がないため、もう無い病気と認識されることが多いですが、世界中では狂犬病によって年間5万人もの方が感染、発症し、亡くなられているのです。
近年では隣国の台湾でも感染が確認されています。
こんなに怖い感染症が日本のすぐ近くで猛威を振るい続けている状況です。
そう思うととても恐ろしいですよね。
もちろん、狂犬病が日本国内に入ってこないように、検疫などで感染動物の侵入を防ぐことが最も重要ですが、輸入されてくる荷物の中に野生動物たちが紛れ込んでくる可能性もあります。
物流が盛んになった現代こそ狂犬病予防接種はかなり重要視されています。
世界保健機構(WHO)によると、万が一感染症が発生した際の蔓延防止のワクチン接種率の目安は70%とされています。
現在の日本の狂犬病予防接種の接種率はその70%を切っていると言われています。
つまり、今狂犬病が日本に入って来てしまったとしたら、日本国内でどんどんこの病気が蔓延してしまう可能性があるということです。
家族同様に過ごしているご自宅のワンちゃんはもちろん、お友達のワンちゃん、そしてひいては私達人間も守るために、狂犬病予防接種はとても大切です。
もちろん予防接種を受けるにはその日の体調なども重要になってきます。
不安なことや不明な点があれば動物病院にてぜひご質問くださいね。
この恐ろしい病気が日本に侵入して来ないように、みんなで力を合わせて守って行きましょう!
目白、下落合、椎名町エリアのイヌとネコの動物病院 聖母坂どうぶつ病院
獣医師 小松愛香