聖母坂どうぶつ病院コラム
治療・予防

コラム 犬と猫の風邪

12月に入って寒くなってきました。この時期私達人間は「風邪ひかないように」気を付けますね。犬と猫にも風邪はあるのでしょうか?

人間で「風邪」とは上気道にウイルスや細菌に感染することで起こる症候群を指します。これと同様の病態が犬と猫にも存在します。

 犬で「風邪」に相当するものは「犬伝染性気管気管支炎(ケンネルコフ)」です。原因はパラインフルエンザウイルスやアデノウイルス、気管支敗血症菌などの感染によります。主に見られる症状は「咳」です。他にくしゃみ、鼻水、発熱、ひどくなると食欲の低下や呼吸困難などが出ることもあります。犬の風邪は子犬での発症が多いです。子犬を家に迎え入れたときに「あれ?咳してる?」と気付いて見つかることが多いです。成犬ではあまりケンネルコフは見られません。成犬で咳をしている場合は、別の原因で咳が起きていることが多いです。

 猫で「風邪」に相当するものは「猫上部気道感染症」です。原因はカリシウイルスやヘルペスウイルス、クラミジアや細菌などです。多く見られる症状はくしゃみ、鼻水、目やにで、悪化すると発熱や食欲の低下などが見られます。猫ではヘルペスウイルスやカリシウイルスは症状が改善しても体の中に潜在し続けます。その為、成猫になっても季節の変わり目や引っ越しなどのストレスなど様々な原因によって免疫力が低下すると症状が再発します。

 犬も猫も、まずは診察で症状を見て「風邪」と仮診断します。原因を確定する必要がある場合には「PCR検査」で病原体を特定します。治療はその症状や原因に合わせて投薬等で治療していきます。予防はワクチン接種と、感染している犬・猫との接触を避ける事です。犬と猫の風邪は飛沫感染するので、多頭飼いをしている際には部屋を分けるなどの措置が必要です。また犬猫達の免疫力が保てるように適した飼育環境を整えることが必要です。

 私の飼っている猫は迎え入れたとき、鼻水ズルズルの目やにだらけの風邪っぴきの子猫でした。そのため、この季節の変わり目は風邪をぶり返す可能性が高いのでいつも以上に健康状態には気を付けてあげています。寒くならないように部屋は暖房をつけていますが、空気が乾燥しますね。鼻やのどの粘膜が乾燥しすぎないように加湿器で空気を加湿したり、洗濯物を室内干しして湿度を保っています。

飼い主さんも犬・猫達も風邪をひかないように栄養をしっかり採って適した環境を整えて、寒い冬を健康に乗り越えましょう!

下落合、目白、椎名町エリアのイヌとネコの動物病院
獣医師 鵜飼