コラム 犬・猫に関するコロナウイルスについて

 こんにちは。新型コロナウイルスによって世の中大変な状態になっていますね。
今回は新型コロナウイルスに関して、飼い主さんによく質問される事について現時点(2020年7月24日)で判明している範囲をコラムで書こうと思います。

・犬や猫に新型コロナウイルスは感染するの?
 まだ詳しく分かっていない状態です。世界規模でみると数例感染が疑われたという報告もあります。しかし、これだけ多くの人間が感染しているにも関わらず犬猫での報告が多くないので、現時点では人から犬・猫への感染の可能性は極めて低いと考えられています。
そして、今のところ犬・猫から人へ新型コロナウイルスが感染したという報告はありません。

・犬や猫でもコロナウイルス感染症ってあるの?
 現在人間で流行している新型コロナウイルスとは別の型で、もともと犬と猫ではコロナウイルス感染による病気が存在します。
症状は主に下痢です。猫に関しては下痢以外に「猫伝染性腹膜炎」の発症に関係しています。

・新型コロナウイルス対策として、犬のワクチンはコロナウイルスが含まれている方がいいの?
 犬のコロナウイルスに対するワクチンは、新型コロナウイルスに効果があるか不明です。その為現時点では新型コロナウイルス感染予防になるとは言えません。
 ペットと新型コロナウイルス感染症に関する情報は、厚生労働省のホームページにアップされています。
新しい情報が追加され次第内容が更新されているので、こまめにチェックするようことをお勧めします。

厚生労働省ホームページ|動物を飼育する方向けQ&A
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/doubutsu_qa__00001.html#Q1

私は、犬・猫たちへの新型コロナウイルス感染より心配していることがあります。それは、飼い主さんが新型コロナウイルスに感染してしまった際にペット達の面倒を誰が見るのか、です。

ペットホテルや動物病院に預ける方法もありますが、万が一、その施設の従業員に新型コロナウイルス感染者が出た際には一定期間休業をする可能性があります。

そのような可能性も考えて、もし万が一飼い主さんが感染してしまった場合に安心してペット達を預けられるところを何か所か考えておき、前もって相談しておく準備が必要だと思います。例えば、違う家に住んでいるご家族や信頼できるご友人などです。もしペットを飼われている方にお願いするのであれば、その方が感染した際には逆に預かってあげられるよう準備ができていると安心ですね。こうして皆で協力し合って、少しでも不安な状況を減らすことができたらいいなと思います。

 このような準備も大切ですが、一番大切な事は新型コロナウイルスに感染しないで健康でいることですね。私たちの生活している地域は残念ながら感染数が多いとされている地域です。ペット達の健康をサポートするためにも、まずは私達人間が十分感染に気を付けていきましょう!

下落合、目白、椎名町エリアのイヌとネコの動物病院
聖母坂どうぶつ病院 獣医師 鵜飼

災害に備えよう!

9月1日は防災の日です。
今月のコラムは犬と猫の災害対策についてです。

皆さんは緊急避難に備えてどのような準備をされていますか?
まず思いつく事は必要な物資の備蓄ですね。
数日分のご飯や水、お薬を飲んでいる子は常備薬、食器、ペットシーツ、など、すぐに持ち出せるようにひとまとめにしておきましょう。

今回は、それ以外に今から準備できることを書こうと思います。

避難所ではたくさんの人が集まります。
中には動物が苦手な方、アレルギーのある方もいらっしゃいます。
その為、飼い主さんのお膝の上で避難、とはいかない可能性があります。
多くの場合、キャリーケースに入っている必要があります。
そこで、今から皆さんに実施してもらいたいことは「キャリーケースを安心できる場所」にしてあげることです。

特に猫ちゃんで「キャリーケース見ると逃げていく」というお話をよく聞きます。
これは、キャリーケース=怖い!と感じているのです。
動物病院に連れて行くときに、飼い主さんが必死で捕まえようとして追いかけて、不安な気持ちのまま移動して、知らないところ(動物病院)で知らない人に触られて注射!
となれば、キャリーケースが嫌いになる理由も理解できますね。
もしキャリーケースが安心できる場所となれば、避難所という知らない場所でもストレスが軽減できますので今からキャリーケース=安心できる場所、にしていきましょう。

まず、キャリーケースは扉を外してお部屋に出しっぱなしにしておきましょう。
常に自ら入れる状況にしておきます。
中にはお気に入りの毛布など入れておくのもよいでしょう。
次に、わんちゃん・猫ちゃんの大好きなおやつを奥に入れます。
そうして自分でキャリーケースの中に入る行動をさせます。
猫ちゃんの場合は、猫じゃらしで誘導して、ケースの中で遊ぶのもいいでしょう。
おやつや遊びはわんちゃんや猫ちゃんの大好きなことです。
大好きなことをセットにすることで「キャリーケースの中にいるといいことがある!大好きな場所!」にします。
大好きな場所になったら、今度は自分から入っていくようになります。
そこでリラックスして寝てくれたら、トレーニング大成功!
今のうちからトレーニングをして備えましょう。
聖母坂どうぶつ病院では、わんにゃんスクールという飼い主さんとペット向けのセミナーを実施しており、そこでキャリーケースを好きになるトレーニングを教える講座もあります。
是非興味のある方は参加してみてください。

もし災害で迷子になってしまった際は、マイクロチップが有効です。
ペット達は言葉が話せませんから、身元を証明する手段が必要です。
首輪は外れてしまうことも多いので、確実に残るマイクロチップが安心です。
マイクロチップは肩付近の皮膚の下に注射のようにして入れます。
挿入時は気づかない子がほとんどで、入れた後も気にすることはありません。

ついつい先延ばしにしてしまいそうな事ですが、このコラムが準備するキッカケになったら嬉しいです。

下落合、目白、椎名町エリアのイヌとネコの動物病院
聖母坂どうぶつ病院 獣医師 鵜飼

マイクロチップについて

こんにちは!
6月12日の参院本会議で「マイクロチップ」装着を義務付ける法案が成立したことはご存じでしょうか。今回のコラムでは、その法律の内容と、マイクロチップとは何なのかについてお話していきます。

まず、この法律、「改正動物愛護法」についてです。
以前(現行)の動物愛護法から変わった点として、虐待罪(殺傷)の法定刑が2倍以上の「5年以下の懲役または500万円以下の罰金」に厳罰化されるほか、マイクロチップの装着義務化などが盛り込まれました。

ではこの法律が成立したことで、今飼っている子にすぐにでもマイクロチップを入れないといけないのでしょうか。
この法律は、ブリーダーなど繁殖業者に装着を義務付けるもので、すでに飼っている飼い主様はマイクロチップの装着は努力義務となっております。
マイクロチップ義務化のねらいは、動物の迷子の防止と、飼育放棄の防止にあります。これを機にマイクロチップを入れるかどうか検討してみてはどうでしょうか。

検討するにあたり、マイクロチップとは何なのかについてお話します。

マイクロチップとは、動物の個体識別を行うためのとても小さな電子機器で、動物の体内(左肩の皮下)に直接埋め込んで使います。
直径8~12㎜の円筒状の生体適応ガラスの中にICチップとアンテナが入っています。
ICチップには15桁の数字が記録されています。
専用のリーダーをチップにかざすとその数字を読み込むことができ、別途管理されているデータベースに照合して、登録されている飼い主様情報を検索できるシステムです。
ICチップは専用リーダーから発信される電波によって起動します。本体に電池は入っていないので、一度入れたら半永久的に使うことができます。

どのように動物の体内にこのマイクロチップを入れるかというと、マイクロチップが通るほどの太い針を刺して挿入します。注射をするほどの痛みで、動物に強い苦痛を与えるようなものではありません。
聖母坂どうぶつ病院では、診察中に入れることもできますし、去勢・避妊手術の際に入れてしまうこともおすすめしています。

しかし、マイクロチップは入れるだけでは意味がありません。
入れた後に飼い主様情報をデータベースに登録する必要があります。
実際、東日本大震災で、マイクロチップは入っているけど登録がなかったために、飼い主様が分からなかったケースがあったそうです。入れた後の登録は飼い主様ご自身で行う必要がありますので、しっかり行いましょう。
マイクロチップを入れたけど登録があるか不安な場合は、電話で問い合わせることができます。聖母坂どうぶつ病院で代わりに問い合わせることもできるので、不安な場合はお尋ねください。

マイクロチップを入れることの最大のメリットは、動物とはぐれたときにどこかで保護されればその子が戻ってくる点ですが、デメリットはないのでしょうか。

MRI検査では、マイクロチップの周囲5cm程度に画像の乱れが現れることがありますが、マイクロチップの影響が出ないCT検査やレントゲン検査などでカバーしたり、必要であれば摘出することも可能です。マイクロチップを入れたことによる副作用は国内での報告はありませんし、診察への影響はほとんどありません。

今わんちゃん、猫ちゃんを飼っている飼い主様は、マイクロチップを入れることは義務ではありません。しかし、震災などではぐれてしまった時のために今からマイクロチップの挿入を検討してみてはいかがでしょうか。
何かわからないことがあれば、聖母坂どうぶつ病院スタッフにお尋ねくださいね。

下落合、目白、椎名町エリアのイヌとネコの動物病院
動物看護師 大口