今から注意! 熱中症

こんにちは。
6月、ということで梅雨の時期になりますね。

今回は「熱中症」がテーマです。
熱中症とは高温多湿な環境に身体が適応できないことで生じる様々な症状の総称で放置すると命に関わる病気です。

犬・猫の熱中症の症状は、

・ パンティング(ハァハァという呼吸)
・ ぐったりする
・ よだれが出る
・ 体を触ると熱い

などの他に、嘔吐・血便などが挙げられます。
放置すると、DIC(播種性血管内凝固)を発症する可能性があります。
DICとは微小な血栓が生じて多臓器不全に至る病態です。

人間は体温が上昇すると、発汗作用により熱を下げる機能(放熱)が備わっています。
しかし、犬・猫は人間のように熱を下げるために汗をかきません。
放熱は呼吸によっても行われますが、発汗に比べると熱を下げる効率は悪いです。
よって、犬・猫は人間より暑い環境に対して弱いといわれています。
また、呼吸による放熱作用は湿度に左右され、湿度が高いほどその作用は弱くなります。
そのため熱中症は真夏の病気と思われがちですが、実はこの梅雨の時期からすでに注意が必要です。

熱中症の予防には、

・ 室内の空調に注意する(エアコンをつける)
・ 肥満は熱中症のリスクを上げるため、肥満にならないように注意する
・ お散歩は早朝や夜の気温が高くない、アスファルトが熱くない時間帯に行く
・ 飲み水を欠かさない

などが挙げられます。

このように様々な予防がありますが、もし、熱中症になってしまったらどうしたら良いのでしょうか?
まずは疑わしいと思ったら、すぐに動物病院に連絡し来院してください。
その間、来院前に飼い主さんでもできる応急処置についてお話します。

一番重要なことは、「体温を下げること」です。

・ 風通しの良い場所や冷房の効いた場所に移動させて水を飲ませる(意識が無い場合は誤嚥する可能性があるので無理に飲ませないで下さい)。
・ 水で濡らしたタオルを身体にかぶせて扇いであげる。
・ 動物病院への移動中も、車内の冷房や車の窓からの風を利用して冷却を続ける。

などが挙げられます。
その際、冷やすといっても氷水など極端に冷たいものは逆に良くありません。
氷水だと身体表面の血管が締まって、身体の中心部分が冷えないためです。

夏の晴れ渡った青空は気分の良いもので遊びに出掛けたくなるものです。
熱中症に注意しながら、夏をエンジョイして頂けたらと思います!

目白、下落合、椎名町エリアのイヌとネコの動物病院 聖母坂どうぶつ病院
獣医師 鵜飼

寒い冬に注意・膀胱炎

こんにちは。
寒い日が続きますね。

今回は「膀胱炎」がテーマです。
動物病院では1年を通じてどの季節でも膀胱炎を見ますが、やはり冬に多いと感じます。

膀胱炎の症状は、
・血尿
・頻尿
・残尿感(何度もトイレへ行く。オシッコの格好をするけど出ない)
・排尿痛(オシッコ中や後に鳴く、おしっこの出口をしきりに舐める)
などが挙げられます。

その原因は
・細菌が繁殖してしまった。
・膀胱に結石がある。
・ストレス(これは猫に多いと言われています)
などがあります。

膀胱炎、とだけ聞くと、そんなに危ない病気に感じませんが、実は命に関わることもあるのです。

〈怖い話その①〉
細菌が繁殖したケースの膀胱炎であれば、放置すると細菌が腎臓に及んで腎不全の原因になり得ます。腎臓は尿を作る大切な臓器ですので、腎不全になると危険な状態になります。

〈怖い話その②〉
膀胱結石や炎症ではがれた粘膜などが尿道に詰まると「尿道閉塞」がおこってオシッコが出せなくなります。尿道閉塞になると、作られたオシッコが行き場を無くして膀胱はパンパン、腎臓にも負担をかけて腎不全になります。

ということで、膀胱炎の症状が出たときは、早めに動物病院へ来てください。

動物たちは、夏に比べて冬はお水をあまり飲まず、暖かいところでゴロゴロしていて動かないことが多いです。
その結果、オシッコの量が減って濃くなり、あまりトイレに行かないことで結石や膀胱炎になりやすくなります。
これが冬に膀胱炎が多い理由のひとつです。
予防には、お水を十分飲むことと、適切な運動をしてオシッコをすることが大切です。

体質的に膀胱炎になりやすい子や、結石を作りやすい子もいます。
実は結石があっても気づかれていないケースもあります。

これに対しては健康診断が有用です。超音波検査や血液検査、尿検査などを総合的に評価することで、適したご飯や生活習慣をアドバイスができます。
すでに結石ができてしまっている場合には、大事に至る前に治療を実施することができます。
膀胱炎や結石ができていなくても、起こりそうな状態が検出できた場合は、予防方法をお伝えすることができます。

最後にあまり知られていない豆知識を。
シュウ酸という結石(溶けない結石なので、できてしまうと手術が適応になります。)は、ビタミンCが多いとできてしまう可能性があります。
ダイエットでキャベツをそのまま沢山食べる、という話をよく聞きますが、結石の原因になっている事があります。
もしキャベツをあげる際は、十分茹でて、ビタミンCの量を減らしたり、お水を多めに飲ませることで結石ができにくい尿の環境を作ってあげることが大切です。

目白、下落合、椎名町エリアのイヌとネコの動物病院 聖母坂どうぶつ病院
獣医師 田草川(鵜飼)佳実