聖母坂どうぶつ病院コラム
治療・予防

来月からフィラリア予防の時期がはじまります

こんにちは!
4月になってぽかぽか陽気が増えてきましたね。暖かくて過ごしやすくなってくると、だんだん出てくる虫、いませんか?そう、「蚊」です。今回のコラムでは「蚊」に関連する寄生虫、「フィラリア」と、その「予防」についてお話しします。

 まずは「フィラリア」とはどんな虫なのかについて。わんちゃんの心臓に寄生する、素麺みたいな白くて細長い(12~16㎝)寄生虫です。心臓に住み着くことで血の巡りを邪魔したり、赤血球を壊したりして身体に深いダメージを与えます。また、血管に詰まると命にもかかわる非常に恐ろしい寄生虫です。

そんな怖いやつらがどうやってわんちゃんに寄生するのでしょうか。簡単に説明すると、

①フィラリアに感染したわんちゃんの血液にはフィラリアの赤ちゃんが沢山います。
②その血を蚊が吸います。
③蚊の中でフィラリアは2段階成長して、他のわんこにとりつく準備を整えます。
④その蚊が感染してないわんちゃんの血を吸うことで、その子も感染してしまいます。
⑤皮下にいる赤ちゃんフィラリアが成長しながら心臓を目指します。
⑥6カ月かけて大人になったフィラリアは心臓で赤ちゃんを産み、その血が全身をめぐります。

このようなサイクルでフィラリアはほかの子へと感染していくのです。

そこで、大切なわんちゃんの身を守るのが毎月の「予防」です。予防薬は体に入ってきて1度脱皮したフィラリアの赤ちゃんをやっつけて、フィラリア症(心臓に成虫が寄生し様々な症状を引き起こしている状態)になるのを防いでくれます。当院の予防薬はお肉タイプの美味しい物や、スポットタイプで液を背中の地肌に垂らすだけのもの、あとは、錠剤タイプもあります。わんちゃんにどのタイプの予防薬が合っているか、お気軽にご相談くださいね。

では、その予防はいつから始まって、いつ終わるのでしょうか。地域によって予防時期は変わりますが、下落合では『5月下旬~6月上旬』にスタートして『11月下旬~12月上旬』まで毎月予防すればフィラリア症を防ぐことができます。

でも4月でも水辺には蚊がもういますよね。さっきお話しした「成長サイクル③」の2段階成長のためには、暖かい日が続かないといけなくて(※興味のある方はHDUとお調べください)、まだ4月の気温だと、蚊の中でフィラリアが感染できる段階に成長できないので蚊がいても予防スタートは『5月下旬~6月上旬』で大丈夫なのです。

逆に、11月下旬にはもう蚊がいないから予防しなくていいのかというと、そうではありません。予防薬は体に入ってきて1度脱皮したフィラリアに対して一番効くので、蚊に刺されてから時間をおいて駆虫する必要があります。下落合のエリアでは、ここ15年間で感染の可能性がある気温の最終日は11月上旬でした。それまでに入ってきた分の虫を駆虫するためにはこの時期に最後の予防をするのがとても大事です。最後の予防を逃してしまうと、次の予防開始までの約半年間フィラリアはわんちゃんの体の中でぬくぬくと成長を続けられることになり、心臓で大人になってしまいます。そうならないために確実に最後の投薬を行いましょう。

また、聖母坂どうぶつ病院ではお薬を使い始める前にフィラリアが感染してないか検査をすることをお勧めしています。もし感染している状態でお薬を使ってしまうと、血液中に沢山いる赤ちゃんフィラリアが一気に死んで、その死骸にアレルギー反応が起きます。すると、激しいショック症状(アナフィラキシーショック)を起こしてしまうのです。そうならないための検査だったのですね。

毎年行っているフィラリアの予防には、実はこんな理由があったのでした。正しい知識をもって、一緒に大切なわんちゃんの健康を守りましょう!

目白、下落合、椎名町エリアのイヌとネコの動物病院 聖母坂どうぶつ病院
動物看護士 大口